Netflixドラマ「FOLLOWERS」、蜷川実花が世界に伝えたかったメッセージ

Netflixドラマ「FOLLOWERS」、蜷川実花が世界に伝えたかったメッセージ


Netflixで日本から世界190カ国に同時配信されたドラマ「FOLLOWERS」の評価が海外で高まっている。日本のポップカルチャーの象徴でもある「東京」を舞台に間口を広げ、女性視聴者層に“刺さった”ドラマとして、海外では評価されているのだ。監督の蜷川実花が制作過程を語った言葉からは、この作品が世界中の視聴者を魅了した理由が浮き彫りになってくる。

      

FOLLOWERS

Netflixオリジナルシリーズ「FOLLOWERS」(フォロワーズ)は全9話を世界190カ国へ独占配信中。PHOTOGRAPH BY SAYURI SUZUKI/NETFLIX

世界各国からのローカルなオリジナル作品が増加するNetflixにおいて、日本から世界190カ国に同時配信されたドラマとして注目されている作品のひとつが、蜷川実花監督の「FOLLOWERS」だ。ひと目見て蜷川の作品とわかるヴィジュアルと、日本人女性の生き方を描いたストーリーが注目され、「日本のポップカルチャーのイメージを色彩美で表現したドラマシリーズ」と評価する海外メディアも多い。

「FOLLOWERS」が海外メディアにも取り上げられている理由のひとつには、各国オリジナルのNetflix作品が増えていることも挙げられるだろう。アジアでは韓国、インド、シンガポールといった国からローカル色の溢れる作品が続々と配信されている。こうしたローカル色のある個性的なドラマのひとつとして、ポスト「全裸監督」を求める海外の視聴者に注目されたと考えていい。

だが、理由はそれだけではない。英国のウェブメディアHITCの記事は、FOLLOWERSについて「瞬く間に日本のファンの間で大ヒット。Netflixで公開されてからは、海外の視聴者からも人気を集めている」と紹介している。シーズン2を待ち望むファンの声も取り上げたうえで、「作品は現代女性のエンパワーメントに焦点を当てており、それを作品のなかで伝えていることを視聴者は賞賛している」と分析している。

つまり、日本のポップカルチャーの象徴でもある「東京」を舞台に間口を広げ、特にソーシャル意識の高いあらゆる国の女性視聴者層に“刺さった”ドラマとして、海外からも評価されているのだ。監督の蜷川も、こうした要素を作品の本質として求めていたようだ。作品のテーマである「リアルTOKYO」について語る言葉からも、その考えがうかがえる。

「女性たちのいまの気分をきちんと描くと同時に、ちゃんと東京の面白いところやきらびやかなところ、かっこいいところを世界中の人に見てもらえるものをつくりたいと思っていた」と、蜷川は語っている。

東京で生きる女性たちの“リアル”

作品のなかでは、東京タワーやカフェレストラン「KAWAII MONSTER CAFE HARAJUKU」、アート展示「チームラボボーダレス」、「ロボットレストラン」など、外国人観光客でにぎわう場所が撮影場所に選ばれている。衣装でも東京で生きる女性たちの“リアル”を表現しており、グッチやディオール、セリーヌ、カルティエ、ティファニー、サンローラン、フェンディなど、大都市カルチャーを彩るグローバルなハイブランドの衣装を生かしている。

ファッションやメイクで意識した点について、蜷川は次のように説明している。「例えば携帯電話のケースひとつとっても、この時期のなつめ(池田エライザ)だったらきっとこれを選ぶはずだとか、携帯の画面が割れていても直せないね、とか。売れてくるとマーク・ジェイコブスのちょっといい携帯ケースに変わっていたりするんです。リミ(中谷美紀)はきっとディオールだね、エリコ(夏木マリ)はグッチなんじゃない?って話しながら、みんなでディスカッションしました」

つまり、そのときどきの自己表現としてのファッションを強調しているというわけだ。「ファッションは表現のひとつですよね。特にファッションのまわりにいる人たちの話だから、そこに自己表現とか自分はこうありたいとか、そのときの調子がヴィジュアルとして出てくるはず。かなり繊細な作業をしました」


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