Netflixの「グッド・プレイス」

Netflixの「グッド・プレイス」

Netflixのファンタジーコメディドラマ「グッド・プレイス」が、最終シーズンを迎えた。このドラマで描かれる“楽園”のあり方は、天国のような場所で暮らすことが人間の精神にどのような影響を及ぼすのかについて、興味深い問いを投げかけている──。『WIRED』UK版によるレヴュー

The Good Place

PHOTOGRAPH BY NBC/NETFLIX

※映画やドラマレヴュー記事にはネタバレにつながる描写が含まれていることがあります。十分にご注意ください

Netflixのドラマ「グッド・プレイス」には、人の死がたくさん出てくる。だが、最終回ほど悲しい“死”はない。

このファンタジーコメディは、通常より長い1時間枠だった第13話をもってシーズン4が終了し、完結した。登場人物たちは、全員が「行くべき場所」にたどり着いたのだ。なお、このレヴューにはネタバレが含まれるので注意してほしい(ただし、最終的な結末には触れていない)。

理論上は「楽園」だが……

このドラマからは、実にたくさんのことを教えられた。哲学者カントの倫理思想、いわゆる「トロッコ問題」、そして誰が着てもダサいのに昨年なぜか流行したカーゴパンツといったことだ。

それに、興味深い議論も展開されていた。第12話では、人間たち4人とマイケルとジャネットの6人が“本当のグッド・プレイス”にやってくる。チディはここで、憧れの学者であるアレクサンドリアのヒュパティアに会うことになるのだが、何百年にもわたって天国で暮らし続けた彼女はすっかり知性が失われて凡人になっていた。

リサ・クドロー演じるヒュパティアは、「望みは何でもかなうし、理論上は楽園なんだけれどね」と言う。「でもそんな完璧な状態が無限に続くと、うつろな目で脳がどろどろに溶けたみたいになっちゃうわけ」

炭酸飲料でも猫でも宇宙船でも、欲しいものは何でも死後の世界の世話人であるジャネットが手に入れてくれる。おもらしをしても、あっという間に蒸発するから痕跡は残らない。シーズン1と同じように、楽園は実は地獄のような場所であることが明らかになる。同じ状況に置かれれば、わたしたちもそう感じるだろう。というより、これに近い体験をしたことがある人はいるはずだ。


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